彼女が背負っているもの
重たい十字架
彼女の心と体の叫びに対し
僕は真っすぐ向き合った。
しかし、僕が考えているほどことは簡単ではなかった。
そのことを徐々に思い知られていくことになる。
彼女は真っすぐだった。
真っすぐに澄んだ心だった。
彼女と直接、会う前の思い出に残る会話が二つある。
一つ目は
僕が110歳になる祖母に会いに
老人ホームを訪ねた時の話である。
『幼少期に一時、両親のもとを離れ、
一人でおばあちゃんと
暮らしたことがあるんだ。
だから僕はおばあちゃん子である。
10年ぶりの再会。
予想以上に
おばあちゃんは元気であり、
笑顔が絶えなかった。
おばあちゃんとの対面を
とても楽しく過ごしました。
でもね
おばちゃん。もう僕のことはほとんど
覚えていなかったんだ。
少し悲しかったけど、
おばあちゃんが元気だったことが
なによりもうれしかったよ。』
それに対して彼女は
『よかったですね。
おばあさんはてつさんに会えて
とってもうれしかったと思います。
てつさんのこと覚えてますよ。
心の中に。
どんなにお年を召しても、ずっと。
うらやましいです。おばあさん。
それとてつさんも。
私もてつさんのおばあさんのように
なりたいです。』
なんだか無性にうれしかった。
心がほっこりした。
すてきな返信ありがとう。