彼女との出会い②

僕は彼女にメールを返した。


『返信ありがとうございます。
 仕事帰りの電車の中から
 その日にあった出来事や
 ふと考えたことなどを
 一日一回メールしますね。
 ゆっくり仲良くなりましょう。』


すると彼女から


『一日一回ですか?
 お仕事お忙しい方なのですか?』


なんてことのない会話なのに
少し違和感があった。いや、違和感を感じずにはいられなかった。
その時はまだ彼女のこの質問の本質がわからなかった。


そして僕から
『仕事はほどほど忙しいです(笑)
 でも一日一回程度のメールで徐々に仲良くなれたら
 と思ってます。』


と普通の内容で返信しました。


これが彼女との始まりです。
なんとなく
僕は彼女からのメールに違和感を感じ
彼女は自らが求めるものとのズレを感じつつ


僕は大恋愛への道に迷い込んでいきました。

彼女との出会い①

出会い系サイトに入会していた。


こんにちは
はじめまして
てつと申します。
A県在住で、東京勤務です。
金融関係でマーケティングの仕事をしております。
最近は会社でも家でも責任ある年齢にさしかかり、
たまに息苦しさを感じます。
ふっと素の自分に戻り、職場以外、家族以外の方と
日ごろの他愛もない話題をして、
ほんの小さな繋がりを持つことで
明日の日常を生き抜く糧にしたいと思ってます。


毎日、こつこつ会話を楽しみましょう。
よろしくお願いします。



という
簡単な内容のメールを数名の方に送っていました。


そうです。
今までの50年間積み重ねてきた自分ではなく、
今生まれたばかりの自分と
僕のことを知らない方と、
全くフラットな関係でつながってくれる人を探して。


会うことが前提ではないので、地域は見ませんでした。


このときはまさか三ヵ月後に
一人の女性と運命の出会いを果すことになるとは
全く想像していませんでした。



日曜日の朝という時間帯にも関わらず、
1時間以内に何通かの返事がありました。


その中に
今後、僕の生涯で大切に想える女性がいたのです。
しかし、まだこのときは・・・・・。

2016年夏

2016年の夏。


たった1年前の夏だけど
その夏は暑かったのか涼しかったのか
思い出すことが
・・・・できない。


僕は疲れていた。抜け殻のようだった。



ゴルーデンウィークに通勤途中で心臓に痛みを感じ
電車の中で意識を失って・・・


救急車で病院に運ばれた。


命に別条はなく
緊急手術の必要もなく
3日間の入院と通院による要経過観察であった。


いままで
病気とは無縁で、仕事も順調であった。


しかし
これを機に何か胸の中にポカリと穴が空いたようになり
気力が失われていった。


別に死を意識するような出来事があったからではない


僕の中で何かが弾け飛んだ気がした。